介護業界の人材不足が慢性化しサービスの質の低下も懸念されるなか、介助者のサポートをしたり要介護者の自立支援をしてくれる介護ロボットは、人手不足を補う手段として注目されています。この介護ロボットが現場などで人の代わりとして機能することができれば、家族負担の削減に介護者の負担軽減などメリットは数多いです。
しかし一方で普及に対する課題も多く残っています。介護事業者にとって導入がネックと考えられているのは、費用対効果が分からない、ロボットによる事故とその危険性、操作が難しい、突然故障などした場合の対応などです。さらに導入コストの高さも課題の一つとなっています。1台数百万円となれば家庭はおろか施設や介護事業者でもためらってしまうものです。
加えて、人的サービスゆえにロボットではできない作業があると考えられていることも導入が進まない理由とされています。事業者を対象にしたあるアンケートでは、ロボットでは画一的な作業しかできず、個人ごとのきめ細やかな対応や体調の把握や管理などができないと考えているところが多くあります。
その一方で、ロボットが高性能であるために介護現場で使いこなせないという状況にも陥っています。介護ロボットを習得するのにある程度まとまった時間が必要ですが、多忙を極める介護現場でその時間を確保するのは難しいのです。
また介護ロボットに関しては、介護現場と導入を進めたい企業や行政との意識のギャップも問題となっています。依然として介護は人がやるものだという意識が強い介護事業者が多く、このギャップが一番の課題と言えるでしょう。